大腸癌は現在わが国で死因の上位を占めており、食生活の欧米化に伴い大腸癌の罹患率は急増し、近い将来死因のトップとなると予想されています。
一般に大腸癌は食肉(特に脂っこい牛肉)の摂取量と相関していると言われています。食生活の改善とともに大腸内視鏡検査にて大腸癌の早期発見に努めましょう。大腸癌は極早期に発見できれば、開腹手術でなく内視鏡的に切除することも可能です。
現在大腸癌の検診には通常便鮮血検査を2回おこなっています。しかしこの検査では早期癌の1割、進行癌でも5割位しか見つからないというデータがあります。つまり便鮮血検査で異常がなくても大腸癌は否定できないということです。確かに日本人は痔が多く、そのための出血かもしれませんが、便鮮血検査で1回でも陽性(異常)だった方は大腸内視鏡検査(大腸カメラ)にて大腸癌のチェックが必要と思われます。便鮮血で陰性(出血なし)の方も便通異常・下腹部痛などの症状のある方は大腸内視鏡検査(大腸カメラ)をお勧めします。
大腸癌の約9割は大腸腺腫という良性腫瘍(大腸ポリープの大部分)を経てゆっくりと大きくなってきます。従って大腸腺腫の段階で内視鏡的に切除してしまえば約9割の大腸癌は予防できると考えられます。実際アメリカのデータでこれを裏付けるものも発表されています。大腸内視鏡検査(大腸カメラ)で大腸癌・大腸腺腫(ポリープ)を検査・治療して、大腸癌を予防しましょう。
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)以外の大腸の検査には一般に便鮮血検査と注腸透視があります。
便鮮血検査は前記の通り早期癌の1割、進行癌でも5割しか見つけることができず、感度が悪く精密検査とは言えません。
注腸透視はバリウムを使って大腸をX線で見る検査ですが、大腸内視鏡検査と同様の前処置(大腸を空っぽにするための処置)が必要なうえ、大腸の重なりのためS状結腸が観察しづらい点、残便とポリープとの区別が難しい点及び検査の性格上、平坦な腫瘍はまず見つからない点などが問題となり、たとえポリープなどが認められた場合確定診断及び治療のため大腸内視鏡検査をあらためてする必要があります。また被爆の点でも特に若い方にはお奨めできません。
このような理由で当院では、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)のみ施行しています。
大腸の病気は気になるけど、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)はつらいって聞いて・・・
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)は胃カメラ以上に、検査に伴う苦痛及び検査の安全性が検査医の経験に左右されます。当院では兵庫県立塚口病院などでの10年以上にわたる大腸内視鏡検査の経験をもとにできるだけ腸管を伸ばすことによる苦痛がないように工夫し大腸内視鏡検査をしております。しかし大腸の長い方やお腹の手術などにより腸に癒着のある方では多少痛みを伴うこともありますので、軽い麻酔をかけて少しボーっとした状態で楽に検査を受けて頂いています。
尚、麻酔を使いながらの検査では呼吸抑制などの副作用がおこることがありますので、血液中の酸素濃度や心拍数をモニターしながら安全に検査して頂けるよう配慮しております。
但し、重い心臓や肺の病気のある方、ご高齢の方、その他麻酔が危険と考えられる方では、医師の判断により麻酔を使えないこともあります。安全第一ですので、ご了承下さい。
また、稀に腸の癒着、腫瘍による腸管の狭窄(細くなること)、大腸過長などにより全大腸の観察ができない場合もあります。
原則として来院しての予約となります。
診察のうえ全身状態のチェック及び大腸内視鏡検査のために必要な検査(腹部レントゲン検査及び血液検査等)を
させていただき、検査日を決めて頂きます。
この時、検査に伴う偶発症の説明・ポリープ切除希望の有無および前処置の説明を致します。
a.便秘の方
b.便秘でない方
2. 麻酔のための点滴をします。
3. 血圧、血中酸素濃度など確認後、前投薬(麻酔薬や腸の動きを止める薬)を投与します。
4. 肛門周囲にゼリーで局所麻酔をした後、検査を開始します。
大腸の奥まで内視鏡を挿入するのに5〜10分位かかります。その後見落としのないよう、ゆっくり観察しながら内視鏡を引き抜いていきます。20〜30分で検査終了です。
ポリープを切除する場合、その数にもよりますが、約40分かかります。
5. 検査終了後、麻酔が覚めるまでベッドで休んで頂きます。場合によりお腹のレントゲン撮影にて腸の穿孔などがないことを、念のため確認します。
6. 検査結果を説明致します。
尚、ポリープ切除や生検を行なった方は、その結果は1〜2週間後となります。
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)にてポリープが見つかった場合、その場でポリープ切除も行なっています。同意書が必要となりますので、検査説明時にその旨お知らせ下さい。
但し大きなポリープ、粘膜に広く拡がったタイプの腫瘍など術後の出血などの危険が高いと予想され、入院でのポリペクトミーが望ましいと考えられる場合には総合病院を紹介させて頂きます。