はしもとクリニック(内科・消化器科・胃腸科)
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慢性肝炎

image 慢性肝炎とは長期間(6ヶ月以上)にわたり肝臓の細胞に炎症が持続し、肝細胞が壊される病気です。長年この状態が続くと、肝臓が硬くなり(肝硬変)、また肝癌を合併することもあります。
 わが国の慢性肝炎の約70%がC型肝炎ウイルス、約20%がB型肝炎ウイルスによるとされ、この2つで慢性肝炎の原因の90%を占めることになります。その他の原因として、自己免疫性肝炎、薬物性肝障害、ウィルソン病などがあります。
 肝臓は予備能力が高いため、慢性肝炎の段階では殆ど症状がありません。しかし、症状がないからといって放置しておくと、気が付かない間に肝硬変になっていたり、肝癌を合併したりすることもあります。血液検査で肝障害を指摘されたら、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスなど原因を調べ、定期的に経過観察し必要に応じて治療を受けましょう。

 B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスはいずれも、血液を介して感染します。日常生活ではそれほど神経質になる必要はありませんが、血液の付着する可能性のあるカミソリや歯ブラシなどは共有しないでください。また、生理時の出血やケガをして出血した時など、できる範囲で自分でしまつしましょう。また医院・歯科医院で治療を受ける時は、できればその旨お伝えください。これは、他の人への感染予防に役立つだけでなく、ご自身の治療(特に薬の投与など)に大変役に立つ情報となるからです。もし万一ウイルス感染ということで、治療を嫌がる医師や歯科医師がいるようでしたら、そういう医院や歯科医院で治療を受けるのはやめましょう。

 話が横道にそれてしまいましたが、ウイルス性慢性肝炎の診療において大切なことは次の2点だと思います。1つは肝細胞の破壊が続き肝臓の働きが不十分となり(この状態を肝不全と言います)黄疸や腹水などの症状がでないように、肝炎を鎮静化すること。もう1つは、肝癌を早期に治療できるうちに発見することです。このためには、先ほども申しましたが、慢性肝炎の方は症状の有る無しに拘らず定期的に受診し、肝炎の状態や肝癌のチェックをしてください。

慢性肝炎

慢性B型肝炎

 B型肝炎ウイルスによってひきおこされる慢性肝炎です。
 B型肝炎ウイルスは成人で感染した場合、一般に慢性化することはありません。しかし、3歳以下の乳幼児が感染すると90%以上の割合でウイルス排除が不完全となり、持続感染となります(この状態をウイルスキャリアと言います)。現在、わが国には130万〜150万のB型肝炎ウイルスキャリアがいるといわれています。
 B型肝炎ウイルスキャリアの自然経過は実に多様ですが、たいていの場合30歳くらいまでに、肝炎の時期を経て、B型肝炎ウイルスの主体が増殖の旺盛な野生株から増殖力の乏しい変異株に移り、肝炎は終息します(これをセロコンヴァージョンといいます)。このようにして、キャリアの85〜90%が無症候性キャリアとなります。そして残りの10%強が肝炎が長期間にわたって持続し慢性肝炎から肝硬変、肝癌へと進んでいきます。

 気をつけなければならないことは、B型肝炎ウイルスの場合、症状の無いキャリアからも肝癌が発生するという点です。このため、セロコンヴァージョンして増殖力の乏しい変異株に変化し、臨床的にも全く症状がなくても定期的な肝癌のチェックは必要です。具体的には年1〜2回の血液検査と腹部エコー検査などの画像診断です。勿論、肝障害のある慢性肝炎や肝硬変の患者さんは検査の頻度を上げる必要があります。

 また何か他の病気でステロイド剤などの免疫を抑える薬を服用する場合、これを契機に肝炎が急性増悪することがあり、時には生命に関わることもありますので、慢性B型肝炎の方のみならず、症状のないキャリアの方も医療機関を受診される時はその旨伝えることが大切です。

 慢性B型肝炎の治療についてですが、残念ながら現在のところB型肝炎ウイルスを完全に排除する治療法はありません。従って治療の目標はセロコンヴァージョンを引き起こし、ウイルスの増殖能を低下させ、肝炎を鎮静化させることです。そして最終的には肝癌の発生を阻止し、また肝硬変・肝不全への進展を阻止することにあります。

 慢性B型肝炎の治療法は抗ウイルス療法、免疫療法、肝庇護療法の3つに大きく分けられます。そして患者さんの年齢、全身状態、肝臓の線維化の程度(肝炎のステージ)、肝炎の活動度などによって治療法を選択します。

慢性肝炎の説明

慢性C型肝炎

image C型肝炎ウイルスによってひきおこされる慢性肝炎です。
 B型肝炎ウイルス同様C型肝炎ウイルスも血液を介して感染します。
 ただしC型肝炎ウイルスの場合B型肝炎ウイルスと違い成人が感染しても約70%の割合で感染が持続します(C型肝炎ウイルスキャリア)。わが国には現在150万〜200万人のC型肝炎ウイルスキャリアがいると言われています。症状はほとんどありませんが、長い経過によりゆっくりと線維化が進行し約20年で肝硬変、25〜30年で肝癌になることが多いと言われています。線維化の進行には、年齢・性別などが影響すると言われています。またアルコール摂取は線維化の進行を早め、また肝癌の発生率も上げることがわかっています。アルコールは控えましょう。

 C型肝炎の場合、肝硬変を経て肝癌が発生することが多いのですが、慢性肝炎の段階でも線維化の程度が進むとそれにつれて肝癌の発生率も上がってきます。従って、ご自分の肝炎の病期(ステージ)を確認し、そのステージに応じて肝癌をチェックする頻度を決める必要があります。

 C型慢性肝炎の治療の目的はその原因となっているC型肝炎ウイルスの排除し肝障害を止めること。そして、肝硬変への進展や肝癌の発生を阻止することです。治療は、抗ウイルス療法と肝庇護療法に分けられます。抗ウイルス療法にはインターフェロン単独療法、インターフェロン+リバビリン併用療法などがあります。C型肝炎ウイルスにはインターフェロンが効きやすいタイプ(グループ2)と効きにくいタイプ(グループ1)があり、わが国のC型肝炎ウイルスの約70%はインターフェロンが効きにくいグループ1です。以前はこのグループ1でしかもウイルス量も多い人はインターフェロン療法によりウイルスが排除できる割合は5%もありませんでした。しかし、最近ではインターフェロン(あるいはペグインターフェロン)とリバビリンの併用療法により約50%の人でウイルスが排除できるようになりました。また、たとえウイルス排除に失敗した場合でも肝臓の線維化の抑制や肝癌発生の抑制に効果があることがわかっています。

肝癌

 現在わが国では、年間35,000人の方が肝癌で亡くなられています。その7割強がC型肝炎ウイルスによるもので、2割弱がB型肝炎ウイルスが原因と言われています。つまり肝癌の原因の90%はウイルス性肝炎で占められています。

 肝癌の高危険度群であるB型慢性肝炎・C型慢性肝炎の方は血液検査、腹部エコー検査、腹部CT検査等を定期的に行ない肝癌の早期発見に努めましょう。

 今日では肝癌は2cm位の大きさで見つけることができれば、体の外から針をさして焼灼することも可能です(ラジオ波焼灼療法)。この方法ですと、体への負担も少なく入院も1週間位ですみ予後も良好です。なるべく早いうちに肝癌を見つけ、治療しましょう。

肝癌